ゴルフと聞くと、「上達」「スコア」「競技」といった言葉が浮かぶかもしれません。でも、ゴルフが日常の中にある暮らしというのは、もっと静かで、やわらかくて、豊かなものかもしれない—
最近、そんな風に感じることが増えてきました。季節のうつろいを肌で感じながら、自然の中で過ごす数時間。うまくいく日もあれば、そうでない日もあるけれど、そのどちらにも価値があって、気がつけば心が少し整っている。今回は「ゴルフのある生活」について、私自身が感じている“上達とは違うゴルフの魅力”をお届けできたらと思います。
豊かな活動であるからこそ、義務にしない
ふと、「今日もゴルフができた」と思えること。
それは当たり前のようでいて、よくよく考えればとても豊かなことでありました。
天気がよくても、雨が降っていても自然の中に身を置いて、
一緒にプレーする仲間とコースを歩く時間。
一打一打に自分に向き合える集中。
何気ない会話のなかにあるやさしさ。
ゴルフが日常にあること自体が、すでに十分に価値のあることでした。
多くの人にとってみればゴルフは趣味でもあり、運動でもあり、対話でもあり、
“人生の質”そのものに関わるような奥行きを持っています。
だからこそ、
「やらなきゃ」「上手くならなきゃ」と義務感に縛られてしまうのは、少しもったいない。
プレーを“タスク”にしてしまうと、
せっかくの豊かな時間が、心を疲れさせるものになってしまう。
それは、ゴルフの本来の良さを見失ってしまうような気がします。
「上善如水」── 水のように柔らかく、自由に
老子の言葉に「上善如水(じょうぜんみずのごとし)」という教えがあります。
“最高の生き方とは、水のように柔らかく、形にとらわれず、低きに流れ、万物を潤すものである”という思想です。
私は、メンタルコーチにこの老子の話を紹介されてから大事に思っている考え方です。
ゴルフにおいても、とてもしっくりくる考えに思います。
・ミスをしても、深刻に捉えずほどほどに流す
・他人と比べず、自分のペースでの上達を尊重する
・型に囚われ過ぎず、状況に応じて形を変える柔軟さを持つ
そんな「水のような心」でプレーできると、ゴルフをしている自分を俯瞰して捉えるようになれるし、スイングに余裕が持てる感覚があります。
ゴルフが上手くいく日もあれば、思うようにいかない日もある。
でも、本来はどちらでもいいんだと思います。
スコアではなく、
自分の時間を味わえたか
誰かと心地よく過ごせたか
自然の中で、心を整えることができたか
そんな風に1日を終えられたなら、
それはもう「最高のゴルフ」だったと言えるのではないでしょうか。
ゴルフは、今ここにある“静かな豊かさ”
ゴルフを通じて得られるものは、
自分の心の在り方ひとつで、ぐっと深く、豊かになります。
良いスコアでないと納得できない自分や、
同伴者やコースが気に入らないとイライラする自分や、
コスパやタイパを気にする自分から抜け出せるかもしれません。
そんな“静かな豊かさ”に目を向けてみるのはいかがでしょうか?