デイブ・ペルツ博士のスコアリングゲームスクール – 2

2020年7月13日 |

2018年8月21日に投稿した記事に加筆修正して再投稿しております。(2020年7月13日)

デイブ・ペルツのスコアリングゲームをオンラインレッスンで開催します!
2020年7月25日(土)20:00〜オンラインレッスン 「苦手意識よ、さようなら!ペルツ式アプローチショットのさらなるヒミツ」

スクール初日は、ピッチショットから始まりました。ピッチショットとは、30〜100ヤードぐらいまでの距離をコントロールするショットで、キャリーがランよりも長いものを言います。ランが長く出るように低く転がすショットは、チップショットと言います。

ピッチショットでいちばん大事なのは、ボールポジションだと教わりました。フルスイングと同じような感覚で打とうとして、ボールを左足寄りに置く人が多く、それが前方への体のスライドやダフりを誘発させるのだそうです。スイングの最下点=アゴの位置なので、スタンスを作ったあと、かかととかかとの間のちょうど真ん中にボールを置きます。振り抜きが良くなるように、左のつま先を30−45°開きます。かかとの位置は動かしません。スタンスはスクエアです。オープンスタンスで教える本もありますが、開く角度やクラブの軌道、インパクト時のフェースアングルとの無限の組み合わせにより打ち出し方向やスピンが予測不能になるので、精度を高めるために、シンプルにスクエアでいいそうです。

フルスイングのようなコイリング(上半身と下半身の捻転差)は使わずに、肩も腰も同じタイミングで同じだけ回してシンクロさせたスイングをします。球を打つ際のパワーソースは、1)体のターン、2)重力(クラブの重み)の2つのみ。バックスイングよりもフォローを大きく取って、常にクラブヘッドを加速させながら打てば、安定したスピンと高さと飛距離が生まれます。右手だけ、左手だけでボールを打つと、クラブがどこに行きたがっているのかを感じることができます。私の唯一の役割は、クラブの自然な動きを妨げないことだと教わりました。

2日目、3日目には、ウィーク&超ゆるゆるグリップ、肘のポジション、リストコック、バックスイング、高いフィニッシュ、などを細かく教えてもらいました。3日間私は、”No pressure, but don’t be lazy”(力を入れるな、だけど怠けるな)”Execute a shot”(ショットを遂行しろ)と禅問答のようなことを言われ続け、今までに味わったことのない何とも言えない不思議なタイミングと角度で、勝手にボールがふわりと飛んで行く打感を楽しみました。

距離のコントロールは、クラブのロフトとバックスイングの大きさを変えることで行います。正面から見て左腕の角度が、7:30、9:00、10:30に来たところでコッキングします。左腕の角度が感覚としてつかみづらいなら、例えば太ももを越えた辺り、腰の高さ、肩の横、というように両手の位置でイメージしてもいいよ、とコーチは言っていました。短いバックスイングの時ほど積極的にコッキングをします。

でもフィニッシュはいつも同じところに上げます。肘や肩よりも高いところにクラブを止めます。スクールでは、「常にワールドクラスフィニッシュ!」(世界レベルのフィニッシュ)とコーチが連呼していました。肘を低く保ち、リストワークが上手にできれば、クラブはグリップを中心に自然にひっくり返ります。ロフト通りの高いボールを打ちたいなら、ある程度のヘッドスピードが必要なので、ワールドクラスフィニッシュが必須です。

ボールが着陸して止まるまで、フィニッシュのポーズを取って見届けます。脳は視覚によっても体の動きを学習します。マッスルメモリーという言葉を聞いたことがありますか?筋肉が動きを記憶して、脳をバイパスして勝手に体を動かす…実際はそんなものは存在しなくて、体に指令を与えるのはいつも脳です。30ヤード、40ヤード、どのショットも必ず何ヤード打つのかを決めて、大きすぎたか小さすぎたか、ミスしてもうまく行っても、フィニッシュを静かに止めて毎ショットの結果を脳にフィードバックします。フィードバックのデータが多いほど脳は早く学習します。練習場でマシンガンのようにボールを打っても、筋肉は鍛えられるかもしれませんが、脳は鍛えられないのだそうです(笑)。

ピッチショットの次は、バンカーショットでした。バンカーショットのスイングは、ピッチショットと同じです。バックスイングは9:00、そしてワールドクラスフィニッシュ。ルースなグリップ、スクエアスタンス、左のつま先を開く、は共通です。ただしバンカーショットの場合は、バウンスを使いたいのでフェースを開いて構えます。そしてボールよりも先に砂を打ちたいので、ボールを左足かかとの内側に置きます。ドライバーと同じポジションです。そんなに前なの?そんなに大きくフィニッシュをとるの?と思いましたが、やってみるとこれがとてもいい。

ボールの何インチ後方にクラブを入れる、などという細かいことは一切気にせず、ルースなグリップとワールドクラスフィニッシュだけに集中しなさいと言われました。多少ボールの入る位置は前後します。手前に入れば多くの砂を拾うので、ボールの飛ぶ距離は短くなりますが、スピンがかからずに長く転がります。浅く入れば、砂の抵抗が少ないためにボールは多く飛びますが、よりスピンがかかるので転がりが少なくなります。つまり行き着くところは同じなのです。失敗する気がしません。もし失敗しても、チェック項目が少ないので、「ああここを忘れていたな」というのが自分で分かります。直してひょいと打つと、また良いショットが出るようになるのがスゴいと思いました。

初日の午後は、低く転がすチップショットをやりました。インタビューの中でコーチは、チップショットが一番先にマスターすべきテクニックだと言っています。グリーン周りのショットの優先度は、1)パット、2)チップショット、3)ピッチショットの順です。手前に深いラフやバンカーがある場合は別ですが、点で狙うよりも線で狙ったほうがカップに近づく確率は高くなるし、高くバウンドさせるよりも転がしたほうが地形による曲がりを予測しやすいからです。

実は、チップショットが私にはいちばん難しいショットでした。2シーズン前にペルツの本を読んで以来、そのとおりに実践していたつもりですが、上手く行くときとダフる時があり、日本特有の野芝の目のせいにしようとしましたがそうでないことは明らかで…、でも結局スクールに来るまで原因は分かりませんでした。

ペルツの教えるセットアップはこうです。低く転がすには、スイングの最下点が来る前にロフトが立った状態でボールを下方向へ打つ必要があるので、ボールポジションを右足前にずらします。ボールと右つま先の間は、3クラブヘッド分、両足は1クラブヘッド分開けて構えます。振り抜きを良くするために、両足のつま先を少し開きます。左足に体重をかけます。通常のセットアップに比べるとだいぶボールの近くに立ちます。クラブを足に近づければ、シャフトが垂直方向に立つので、スイングの間フェースがターゲットを向く時間が長くなり、より狙った方向にボールを打ち出すことができるようになります。

フルスイングのバックスイングの大きさを1から4に4分割し、フォローを5分割するとしたら、チップショットの基本型はバックスイング1、フォロー3のイメージだそうです。ラフが深いなど高さが欲しいときはロフトのあるクラブを使い、すぐ着地させてたくさん転がしたいときはロフトの少ないクラブを使います。スクールでは8番アイアンで練習しました。

ボールがそこにあると思うな、ボールを打とうとするな、バックスイング1、フォロー3のスイングだけに集中しなさいと言われ、またしても座禅を組むような気分で自分を無にしてクラブを振り続けました。でもダフりは忘れた頃にやって来ます。まだ自分を無にし切れていなかったのか?これはペルツの科学的な教えとはかけ離れて行くような…?芝を見つめながら逡巡し立ちすくんでいる私にコーチから起死回生のアドバイスが!

「打ち終わった後に右足の外側に力が入っているのが気に入らない。かかとが浮く位でないと」”You must execute a shot!”(ショットを遂行しなさい。)なるほど。最初に左足に体重をかけているのにフォローで右足が浮かないということは、体を使っていなかったということです。もっと前方向に打って行き、正面を向いてフィニッシュするイメージでした。2年越しの悩みが科学的に解消されました。ミスに対するチェック項目の引き出しがまた1つ増えました。

次回はパッティングについてお伝えします。お楽しみに☆

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この記事を書いたのは

野村 祥子

野村 祥子

皆さまいかがお過ごしですか?
12月から日本でレッスンを再開させていただきます。
コースでお会いできることを楽しみにしています。

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