【2020年2月19日に投稿した記事を修正して投稿しています】
こんにちは、toshiyukiです!
今回はゴルファーにとって敬遠されがちなスライスについてお話ししたいと思います。
スライスに悩まれているゴルファーはとても多いと思います。
特に初心者の方のほとんどがスライスからスタートします。(私もそうでした!(笑)
そんな初心者の方にもなぜスライスするのか?、何を意識すればスライスが直るのか?などスライスの原因や直し方について分かりやすく解説していきたいと思います。
ぜひ参考にして下さい!
スライスについて
◼︎スライスとは
左から右に曲がるボールのことをスライスといいます。
◼︎スライスの種類
スライスにもいくつか種類があり、打ち出し方向によって呼び方が変わります。
ターゲットに対して右に飛び出して右に曲がる球をプッシュスライス、ターゲットの左に打ち出して右に曲がる球をプルスライスと呼びます。
また同じ右に曲がる球でもフェードという呼び方もあります。
スライスとフェードの違いについてはいろんな意見があります。
よく耳にするのは大きく曲がるボールはスライスで少ししか曲がらないのがフェード、或いは狙ったところよりも右に着地するのはスライスで狙ったところに着地するのがフェードという意見です。
ただどちらも曲がる仕組みは同じなので私個人的な考えとしてはスライスもフェードも同じかなと思います。
ではスライスの原因についてお話ししたいと思いますがその前にD-plane理論という弾道の法則を説明する理論についてお話ししていきます。
◼︎D-plane理論
Dプレーン理論は1999年に弾道計測機トラックマンのTheodore Jorgenson博士により提唱されました。
D-planeの”D”は説明という意味の”Discribe”の略でクラブとボールの衝突の真実を説明する理論です。
この理論が提唱されるまではボールの打ち出し方向はクラブ軌道、曲がりはフェースの向きで決まるという飛球法則が主流で実際に私もこの飛球法則に沿ってレッスンしていました。
しかし、弾道計測機や高性能カメラなどの普及により打ち出し方向はフェースの向き、曲がりはクラブ軌道で決まるという全く逆の飛球法則が明らかになりました。
フェースの向きが打ち出し方向に影響する割合はドライバーで約80%、アイアンは約70%とされています。例えばドライバーの場合で言うと、インパクト時にフェースが5度右に向いているとボールは約4度右に打ち出されます。
そしてクラブ軌道とフェースの向きの組み合わせによって球筋が決まります。
スライスの原因
◼︎アウトサイドインとオープンフェース
ではどうしたらスライスになるかというとクラブ軌道に対してフェースが開いて(右を向いて)インパクトするとスライスになります。
この時、ボールにサイドスピン(横回転のスピン)はかかりません。
ボールにはバックスピンしかかからずボールの軸が右に傾くことでボールが右に曲がります。
では前述のプッシュスライスはどうでしょう?
ボールが右に飛び出すのでフェースはターゲットよりも右を向いてインパクトします。
そのフェースの向きに対してクラブ軌道はアウトサイドインに抜けていきます。
プルスライスの場合はターゲットに対してフェースが左を向いてボールにコンタクトしクラブ軌道はそれ以上にアウトサイドインに抜けていきます。
フェースの向きとクラブ軌道の差が大きくなればなるほどボールは大きく曲がります。
◼︎打点のずれ
上記のD-plane理論はあくまでもフェースの芯でインパクトすることが前提になります。
芯を外した場合、ボールの球筋は変わります。
これはギア効果と呼ばれるもので芯を外した時、すなわちクラブヘッドの重心とボールの重心が進行方向同一線上から外れた状態でインパクトするとクラブヘッドに回転の力が働き、ボールには逆方向への回転の力が働きます。
例えば下の写真のようにボールがヒール側に当たるとクラブヘッドには反時計回りの回転力が働き、ボールにはスライススピンがかかって大きく右に曲がります。
逆にボールがトウ側に当たるとクラブヘッドには時計回りの回転力が働き、ボールにはフックスピンがかかって大きく左に曲がります。
スライスで悩んでいる方でひょっとすると打点が原因になっている方もいるかもしれないですね。
もしスライスの原因で悩んでいる方は打点がわかるインパクトシールでチェックしてみるといいかもしれないですね。
このスピンによってターゲットから大きく外れてしまうというミスを軽減するためにドライバーやフェアウェイウッドのフェースは湾曲した形になっています。
この湾曲をバルジといいます。
余談ですがさらにこのスピン量を減らしてボールを真っ直ぐ遠くへ飛ばすためにテーラーメイドがTWIST FACEを開発しました。
このクラブの恩恵を受けているツアー選手達も多いですね。(笑)
◼︎スライスに悩んでいる方の特徴
スライスに悩んでいる方の特徴としては
・スイング中にフェースが開く
・右腕の力感が強くボールを強く打ちにいく(右打ちの方)
・トップから上半身が先行しクラブがアウトサイドから下りてくる
などです。
スライスの矯正方法
◼︎スライスを矯正するには?
ではスライスを矯正するにはどうすればいいでしょうか?
D-plane理論を参考にすると
1.クラブ軌道をインサイドイン、或いはインサイドアウトに振り抜く
2.クラブ軌道に対してフェースが左を向くようにインパクトする
この二つのことを実践できればスライスが矯正されストレートかフック(ドロー)になります。
◼︎クラブ軌道を変えるには?
クラブ軌道をインサイドイン、或いはインサイドアウトにするにはスイングを変えるという方法もありますが大変な作業ですね。
実は簡単にクラブ軌道を変える方法があります。
それはスタンスの向き(エイミング)を変える方法です。
ターゲットに対してクローズスタンスで構えることでクラブ軌道を変えることができます。
またダイナミックエイミングを意識することでクラブ軌道を変えることができます。
◼︎ダイナミックエイミングとは?
ダイナミックエイミングという言葉を初めて聞く方もいると思います。
ダイナミックエイミングとは両足にかかる圧の中心点を結んだ線のことを言います。
ターゲットに対してスクエアに構えた状態でも左足のつま先と右足のかかとに圧が多くかかっていると右を向いている状態になりクローズスタンスで構えていることと同じになります。
ダウンスイングでも圧を左つま先と右かかとに多くかける意識を持つことでインサイドイン、或いはインサイドアウトに振り抜きやすくなります。
◼︎フェースの開きを抑えるには?
今度はフェースの開きを抑える方法についてお話しします。
スイング中にフェースが開いてしまう方の多くはグリップをウィークに握っています。
ウィークに握るとダウンスイングでかなり手首を掌屈しながら腕をローテーションさせないとフェースが開いた状態で下りてきます。
この動きを行うには手首や肩関節の柔軟性が必要で体が硬い人にとってはかなりキツい動きです。
この動きを補う手段として左手をかぶせた状態でグリップします。
所謂、フックグリップですね。
フックグリップにすると手首が背屈した状態や腕のローテーションが少なくてもインパクトでフェースがスクエアに戻ってきやすくなります。
フックグリップの目安としてはグリップを上から見た時に左手のナックルが2個半から3個見えるぐらいで握ります。
◼︎ドライバーはスライスしやすくアイアンはフックしやすい
レッスン中に「アイアンは真っ直ぐ飛ぶけどドライバーになるとスライスするんです」というお悩みを聞くことがあります。
原因はスイングやクラブのスペックなどにもあると思いますが実はスイングプレーンのメカニズムによって起こります。
スイングプレーンのメカニズムについて説明するとかなり長くなってしまうのでここでは掻い摘んでお話しします。(笑)
まずスイングプレーンをクラブの最下点を中心にして上から見てみるとターゲットに対してインサイドインにクラブが動いていきます。
また最下点より右側がダウンブローエリア、左側がアッパーブローエリアになります。
(画像は大矢(2018),「スイングプレーンとクラブの軌道を理解する」より引用しています。)
アイアンはダウンブローに打っていくのが理想ですがダウンブローエリアにあるボールに対してクラブはインサイドアウトに当たるのでアイアンはフックになります。
一方でドライバーはアッパーブローで打っていくのが理想です。
アッパーブローエリアにあるボールに対してクラブはアウトサイドインに当たるのでドライバーはスライスになります。
なのでドライバーをストレートに打ちたければ前述したようにクローズスタンスで構えるかダイナミックエイミングを意識(左つま先と右かかとに圧をかける)してスイングしてください。
スライスの症例&改善ドリル
レッスンでもよく見かけるスライスの症例と改善ドリルをご紹介します。
◼︎腰がボール側に寄っていってしまう(アーリーエクステンション)
テークバックからダウンスイングにかけて腰の位置がボール側に寄っていくことでクラブがアウトサイドから下りてきてスライスになってしまいます。
こういう方にお勧めのドリルがキャディバッグをお尻に当ててスイングするドリルです。
レッスンでもやってもらうことがありますがほとんどの方はダウンスイングでお尻がキャディバッグから離れてしまいます。
初めはかなり違和感があったりまともにボールに当たらなかったりすると思いますがまずは小さい振り幅から試してみて下さい。
◼︎頭の位置がターゲット方向にズレてしまう
次はテークバックからダウンスイングにかけて頭の位置がターゲット方向にズレることでアウトサイドインになってしまうケースです。
こういう方にお勧めのドリルは両足を揃えてスイングするドリルです。
両足を揃えてスイングすると頭の位置がズレると途端にバランスを崩してしまいスイングできなくなるので軸を保つにはとても良いドリルです。
感覚が掴めてきたら徐々に足を広げてスイングしてみて下さい。
◼︎肩が回らない
3つ目の症例はテークバックで肩が回らずにアウトサイドインになってしまうケースです。
こういう方にお勧めのドリルはクラブを肩に担いでシャドースイングするドリルです。
テークバックで左肩がボールよりも右に来るまでしっかり肩を回して下さい。
右腰や右肩を後ろに引く意識を持つと肩が回りやすくなります。
この動きを何度も繰り返して体に覚え込ませていきましょう!
トップでのボールの見え方も変わってくると思います。
Q&A.スライスに関するよくあるご質問
Q.スライスを直すにはどんな練習をすればいいですか?
A.スライスの原因はアウトサイドインとオープンフェースとお話ししました。アウトサイドインの原因のひとつとしてトップから上半身が先行してしまう事が挙げられます。なのでまずは腰から切り返す感覚を身に付けるという意味でステップを踏みながらの素振りをお勧めします。
オープンフェースについては前述したグリップをぜひ試してみて下さい。それでもフェースが開いてしまう方は左手首の掌屈を意識してみて下さい。
Q.トップで右肘が開いてスライスしてしまいます。矯正方法はありますか?
A.よく右脇を閉めようとする方がいますがそうするととても窮屈なスイングになってしまうので右肘が下を向くように意識してみて下さい。
感覚を掴むドリルとしてはクロスハンドグリップでのスイングをお勧めします。
ただ肩甲骨や股関節の可動域が小さいと右肘が開いてしまうのでまずはストレッチなどで体の柔軟性を高めていく事がスイング改善への近道です。
Q.スライス矯正に役立つ練習器具はありますか?
A.スイングを修正する上でのスライス矯正のポイントは前述したようにスイング軌道をアウトサイドインからストレートtoストレート、もしくはインサイドアウトに変えていくこととインパクトでのフェースの開きを抑えることです。
スイング軌道においては右肘の動きを変えることで修正しやすくなるので両腕にはめる矯正ベルトや直径20cmぐらいのゴムボールを両肘に挟みながらスイングするといいと思います。
フェースの開きについては左手首を掌屈させることで修正できるので左手首にはめる矯正サポーターなどはいいかもしれません。
Q.クラブが振り遅れてしまう事がスライスの原因だと思うのですが矯正方法はありますか?
A.おそらくクラブが遅れて下りてくる事でフェースが開いてしまう事がスライスの原因だと分析されていると思うのですがクラブが遅れて下りてくる事とフェースが開いてしまう事は直接関係ありません。
逆にクラブはできるだけ体や腕よりも遅れてインパクトを迎える事が理想です。
フェースの開きについては前述していますが左手をかぶせてグリップするか左手首を掌屈させる事で矯正できるのでぜひ試してみて下さい!
Q.スライサー向けのドライバーってありますか?
A.クラブが球筋に与える要素はいろいろありますがスライスの曲がりを抑えるには重心角が大きいクラブを選ぶと良いと思います。
クラブの重心角が大きいほどダウンスイングでフェースが返りやすくなりインパクトでフェースが開きにくくなります。
ただしスイング軌道はクラブでは変えられないので初めは左への引っかけが多くなると思います。
しかし球が掴まりやすくなった分、スイング軌道の矯正が行いやすくなると思うので重心角の大きいクラブを使って練習されると良いと思います。
◼︎参考記事について
これまで15年以上レッスンをさせて頂いてきましたがスライスに悩まれている方が本当に多いです。
それぞれに原因や矯正方法は違いますが今回の記事が皆様のお役に立てればとても嬉しいです。
これからもたくさんの方にゴルフを楽しんで頂けるようコーチングスキルを磨いていきますのでぜひレッスンにご参加ください!
皆様とお会いできるのを楽しみにしています!(^^)