スイングよりも内観する力

2019年6月6日 |

人間の進化の過程では、エネルギー効率を考えられて進化が進んできたと言われます。四足歩行から二足歩行の移行は代表的です。自然の中で生き抜くためにはエネルギーの消費量が少ない二足歩行の方が有利とされていますし、また狩猟においてはスピードよりも持久走(持久力)のほうが重要であるという点で二足歩行への移行が進んだと考えられています。(諸説あります)

スポーツでも無意識に目的に合わせてこの「効率さ」を求めて練習しています。少ないエネルギーで大きなパワー(またはパフォーマンス)を発揮することが大切にされます。野球のピッチャーで言えば早いボールを投げるために効率的な投げ方を模索します。また水泳や陸上競技も早い記録(早いスピード)を出すために効率的なフォームを模索します。

私たちがプレーするゴルフでも同じことが言えます。より正確により目的の距離を飛ばすためのスイング(効率的なスイング)を求めて打球練習に取り組みます。このように私たちは意図することなく効率を求めて運動を行っています。そしてその効率の「良いスイング」(=理想的なスイング)を求めて日々探求するものだと思います。

ゴルフにおいて一番難解なことは、その「良いスイング」ができたと思ってもその瞬間を過ぎれば変化していくことだと思います。その日はいいパフォーマンスが発揮できたと思ったら次の日には上手くいかなくなることもあります。

おそらくゴルファーが留めておかないといけないのは、環境や時間、自分の体の変化によってその瞬間に自分の「良いスイング」も変わっていっていることです。コースと練習場での違い、コースによっての違い、ホールによって違い、朝と夕方の違い、体調による違いなどあげたらキリがないです。様々な要因が重なって今現在のパフォーマンスがあるとするならば何か理想的な「良いスイング」を求めることよりも、その状況を理解して自身を内観する能力を高めていく方が多くの変化に対応できて理想とするパフォーマンスを発揮できるのではないかと思います。

ゴルフも日進月歩でスイングの解析やギアの開発が進み、それはこれからも止まることはないと思います。今後も巷では多くの理論が登場すると思いますが、そういった情報だけに流されないことも大事だと思います。私はコーチとして知識をつける意味では多くの情報を得る努力はしますが、それと並行して自分を内観する能力も高めていくことを考えています。数年前にマインドフルネスというワードがビジネスの世界で流行りましたが、いまここに意識を集中する練習というのは多くの要因が絡み合うゴルフにおいて重要なテーマとなりそうです。

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この記事を書いたのは

寺嶋 慶介

寺嶋 慶介

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