ゴルフ経験の大半はミシガンで
私は生粋の日本人ですが(笑)、人生の約20年間をアメリカで過ごしました。最初の1年は高校時代に留学したミネソタ州、残りの19年は結婚後、夫の仕事の都合でミシガン州に滞在しました。主婦になってから本格的にゴルフを始めたので、ゴルフ経験はほとんどアメリカでのものです。夫もゴルフ好きでしたから休暇は全部ゴルフ旅行。どこへ行くのにも必ずゴルフバッグを担いで出かけました。ペブルビーチ、パインハースト、ヒルトンヘッドなど、名だたるリゾートコースはほとんど制覇しましたが、逆に日本でのゴルフ経験はほとんどなく、本格デビューはゲンテンに就職した2年前です。
地域差が大きく、「アメリカでは…」とひとくくりにするのは難しいので、私のよく知っているミシガン州のゴルフ事情をご紹介したいと思います☆
ミシガン州は、全米で面積が11位(日本の北海道と九州と四国を合わせたぐらいの広さ)、人口8位(約1000万人)の中西部の州です。
↓ここにあります。
五大湖の4つが州に接していて、土地は比較的平坦なので、コースに激しいアップダウンはありません。湿地帯や小さな湖、川がとても多いので、自然を生かしたレイアウトが難易度を上げます。
デトロイト3(スリー)と呼ばれるアメリカの自動車会社の拠点があり、たくさんの部品メーカーがオフィスと工場を構えています。自動車関連の日系企業も多く進出しています。東のニューヨークと西のカリフォルニアにはさまれた、適度に都会で適度に田舎な自動車産業で発展した街。アメリカのほうがぐんとスケールは大きいですが、相対的な規模や地理では、日本の中の愛知県によく似ていると思います。
冬はとても寒いので5ヶ月間コースは閉鎖されますが、夏は過ごしやすく、気温は25℃程度で湿度が40%ほどしかありません。毎日高原でゴルフしているような気分を味わえます。夏にミシガンにいるのにゴルフをせずに何をするんだと言いたくなるぐらい、街のいたる所にゴルフ場があります。
ミシガンは、コースの数は全米3位
PGAのレポート(2016/07)では、全米のゴルフコースは約17,000、うちパブリックが11,800、プライベートが5,200あります。2012年の数字ですが、一番ゴルフ場が多い州はフロリダで1,261、2番目はカリフォルニアで1,007、3番目はミシガンで971、以下テキサス(906)、ニューヨーク(886)、と続きます。
他州に住む人たちに聞きますと、ミシガンのゴルフ環境は本当に恵まれているようです。フロリダは観光とシニア&富裕層の別荘で成り立つ州ですから、特殊です。コースはリゾートかプライベートが多いと思います。カリフォルニアは人口が多いし土地が高いので、パブリックでもプレイフィーが高いです。安いところは5人で回らせるので、スルーのラウンドに6時間ぐらいかかります。予約も取りづらく、予約を取る専門の業者があるくらいです。往復のフリーウェイの渋滞も筋金入りです。
その点、ミシガンはパブリックでもコースの難易度が高いところが多く、10日前なら週末でも楽にティタイムが取れますし、当然4人プレイ、料金は18ホールカート付きで40-70ドル程度とリーズナブルです。コースは本当に至る所にあります。家から車で1時間圏内と決めても、1ヶ月ぐらいなら毎日違うところでプレイしても回り切れないでしょう。
そんなミシガンのプライベートコースの様子をご紹介します。
施設の種類
プライベートコースには、カントリークラブとゴルフクラブがあります。「カントリークラブ」には、ゴルフコースの他にプールやテニスコート、ジム、カードルームなどの遊興施設があります。プライベートは、ほとんどがカントリークラブです。
「ゴルフクラブ」にはゴルフ関連の施設のみがあり、他の遊興施設はありません。名前ではっきり区別しています。いずれのタイプのクラブもゴルフをするかしないかでメンバーシップの種類を分けているところが多く、ゴルフ以外の施設を使うことのできるメンバーシップはソーシャルメンバーと呼ばれます。近所に住んでいて、ゴルフはしないけれど会食に使いたい、孫をプールに連れて来たい、などの理由で入会する人がいます。ゴルフを含むほうはフルメンバーシップと言って、すべての施設を使うことができます。入会する時の値段も年会費も違います。1人がメンバーになると3親等までの同居の家族はメンバーとして扱われます。
これは余談ですが、もっと細かいクラス分けがある特別なコースもあります。ライダーカップやUSオープンを開催した実績のある、ミシガンでは孤高のプライベートクラブ、Oakland Hills CC。トーナメントをするドナルド・ロス設計のSouth Courseと、まあまあ難しいけど有名ではない(こちらもロス設計)North Courseがあるのですが、最初はゴルフ以外の施設とゴルフレッスンだけを受けられるメンバーから始まり、Northだけできるメンバー、Southもできるけどゲストは連れて来られないメンバー、Southでできてゲストも連れてこられるメンバー、というふうに段階分けがあって、バブル期に最初の書類審査からフルメンバーシップを獲得するまでに8年かかった、という人の話を聞いたことがあります。
特別な環境です
プライベートクラブには、クラブのポリシーに同意した人たちがお金を払って特別な空間へのアクセス権を買う、という基本的な考えがあります。男性のメンバーのみティタイムを取ることができる時間枠や、男性しか入れないシガーバーなどはまだ存在します。最近はそれでは不公平だからと、女性のみの時間枠を別に設けたり、女性のみ入れる空間が作られたりしているそうです。これは身につけているもので分かるのですが、メンバーもスタッフも特定の宗教の人しか見かけないコースもあります。(無宗教で日本人の私がゲストとしてラウンドするのは問題ありませんでしたが^^。)いっぽうで、若い人たちをターゲットにした、本気のトーナメントと柔らかいファミリーイベントに力を入れている、新しくてオシャレなプライベートコースもあります。古い慣習が残っているのを是とし、閉鎖的で伝統あるコースのメンバーになるのか、若々しいオープンな雰囲気のコースのメンバーになるのか、それは好みの問題ですね。
メンバーはみんなアクティブ
どこへ招かれておじゃましても、メンバーは所属意識が強く、仲間うちでラウンドすることを好み、ラウンドが終わってからも、ロッカー室やレストラン、バーで賑やかに時間を過ごしているような印象を受けます。まあそういう人たちが頻繁にコースに来るだけなのかもしれませんが…。
メンバー、ゲストを問わずお行儀の良さは、クラブの格式とだいたい一致します。ただ、私がゲストとして入れるのはレストランなどのパブリックスペースのみでして、厳かな雰囲気のクラブでも、特別な空間の男性シガーバーではハメを外すメンバーもいるようです。スコアが悪くて騒ぎたい日、今日は彼女の前でカッコつける日、家族でリラックスする日、など気分に応じてクラブ内のスペースを使い分けることができるのは、アメリカのスゴいところだなあと思います。
後編では、プライベートコースだからこそ受けられるおもてなし、うまく機能するメンバートーナメントのしくみなどについてご紹介します。お楽しみに☆