今年は春から女子のレギュラーツアーのうち何試合かでプロをレッスンする機会をいただきました。
プロのレッスンって何やるの?という事について書いてみます(^^)
まず、プロの場合は毎週のように「試合」があり、それが「ビジネス」です。
プレーの良し悪しが自身の収入やキャリアに影響を及ぼすため、特にコーチや使用クラブなど契約は期間が1年以上と中長期になるものについて、選手はとても慎重に選択します。
我々のような職業コーチは選手から依頼を受けて会場に入ります。
選手がコーチを登録するとコーチバッジがもらえて、これをつけて入場します。
カードの裏にトーナメント開催中に入場を許可されたエリアが書いてあります。
試合本場ではアドバイスが禁止されているので、だいたいは練習日に会場入りし、コースを一緒に歩いて選手のプレーをチェック。
選手にもよりますが、練習日の1日の流れは
朝会場入り→練習→練習ラウンド→練習→ミーティングという感じです。
プロの練習ラウンドでは通常のプレー球と別に、もう1球の練習球を打ってプレーしていきます。
ティーショットの番手を変えて打ったり、セカンドショットもグリーンの奥と手前に打ったり、アプローチは外れそうな場所から入念に打って、ボールの止まり方や転がり方をチェックします。
さらにそれらの情報をヤーデージブックに書き込んでいきます。けっこう忙しいです(^_^;)
こんな感じでプレーすると2サムでもハーフで2時間半以上かかります。
コーチは、スイングの技術的なアドバイスをするだけの人もいますし、コースマネジメントやゲームプランについて選手に提案する人もいます。
そして、練習ラウンドが終わると、ドライビングレンジでチェックポイントを再度確認しながらの打球や、本場で想定されるアプローチの練習、パッティングの軌道チェックなどをします。
アマチュアとプロのアドバイスの違いですが、私が個人的に感じた事として、アマチュアよりもプロの方がはるかに感覚的です。
理論や理屈ではなく、感覚でボールを打ってコントロールしているので、どうやって打ってる?と聞いても明確な回答がない場合が多いです。
おそらく、プロの場合は身体知(体で覚えていること)が圧倒的に高く、形式化された理論よりもインパクトの感触や、球筋のイメージを重視する傾向があります。
対してアマチュアのコーチングでは、カタチを言葉で伝えることが圧倒的に多くなります。
例えばグリップの握り方、ボールの位置、肩の回転、シャフトの傾きなど、目で見て理解できることをわかりやすく言語化する感じです。
アマチュアゴルファーの場合は、頭で理解して体を動かすために、まず頭で納得できるような情報が必要です。
極端な例ですが、少し入射角が強いプロに「もうちょっと高いカットを打つイメージで」と言えば、自分の感覚でアドレス、ボールの位置、スイングの軌道など全て本能的に修正します。
それが全て理屈通りではないにしても、結果的にそのアドバイスで入射角が緩やかに改善されてしまうことがあります。
なのでプロコーチングでは、この「感覚」がより高い精度で再現できるために、「正しい理論」で繋ぐというアドバイスが多くなります。
プロにとっては感覚が最も重要であり、その理想の感覚に近づくためにどうすればいいのか?ということを本人の口や表情から出てくるヒントを手掛かりに見つけていくような作業です。
なので、教える技術というよりも、知識量の豊富さやコミュニケーションのスキル(共感力)が高い人が向いているように思います。
こんな感じでレッスンをして、全部終わると16時頃になります(^_^;)
朝7時から夕方16時まで、昼食を除くと8時間。まさに仕事って感じですね(笑)
そして、選手とのミーティング。
本場では行動目標にフォーカスするために、1つか2つの重要なアドバイスにまとめまて、これでお仕事は終了です。
選手によっては、帯同キャディや、ボディケアトレーナー、海外選手だとメンタルトレーナーも付いてチームで選手をサポートする場合もあり、その場合は選手以外のサポートチームでのmtgもあるそうです。
我々のようなコーチが働く期間は練習日から予選ラウンドまでの1日か2日程度が普通で、コーチの報酬や経費はプロの負担になるので、複数のプロで1人のコーチを雇い折半する場合もあるそうです。
如何でしたか?
プロも同じゴルファーです。我々と同じように、上手く打てない事に悩んだり、もっと上達したい、もっといいボールが打ちたいという気持ちを持ってコーチを上手に利用しています。
私たちコーチは、相手がプロでもアマチュアでも、その日のラウンドに不安なく希望を持ってティーインググラウンドに立てることをサポートする仕事である事に変わりはありません。
皆さんも私達コーチを上手に使って、ゴルフを楽しんで下さいね〜(^^)