「感覚」と「現実」のあいだ

2016年2月4日 |

Director's Note
何かの映画のタイトルのようですが、実はこれレッスンでよく起こることを言葉にしたものです。

映像や計測器を使ってスイングをチェックした事があるゴルファーなら誰もが一度は自分の「感覚」とモニターに映る自分のスイングの「現実」との間にギャップを感じた事があると思います。
例えば、
・自分の感覚ではバックスイングをすごくアウトに上げているつもりなのに、現実にはインになっている。
・自分の感覚では頭は微動だにさせないつもりなのに、現実には大きく動いている。
・自分の感覚では肩を90度以上回しているつもりなのに、現実には60度も回っていない。
・自分の感覚ではダウンブローに打ってるつもりなのに、入射角の数値はアッパーになっている。
といった感じです。
ゴルフスイングにはこの「感覚」と「現実」のあいだに常にズレが起こっています。

ですから私たちもバックスイングを極端にインに引いてしまうゴルファーを矯正するためのアドバイスとして『バックスイングをアウトに上げてください』と言いますが、それは「感覚」として言っているのであって、実際にボールをストレートに打つ際にクラブが飛球線よりもアウトに上がる必要はありません。

では「現実」だけをアドバイスすれば良いかと言うとそうでもありません。
先ほどの例で言うと、バックスイングを極端にインに引いてしまうゴルファーに『クラブは緩やかにインに引いていくようにしてください』と伝えて、あまり大きく改善しないのは容易に想像できます。

レッスンの手法として、この「感覚の矯正」から「現実の矯正」につなげる方法は頻繁に使われていて、真実は”感覚と現実のあいだ”にあると言えます。
もう一度言います。レッスンでは実際の動きではなく、感覚を矯正している場合があるのです。

例えば『以前に習ったコーチがバックスイングはアウトに上げろって言ったので…』と極端にアウトサイドに上げているゴルファーがいます。
これまでの話で、そのコーチはおそらくインに上げる動作を矯正するために「アウトに上げる感覚で」と感覚を矯正するアドバイスのつもりが、そのゴルファーはバックスイングはアウトに上がるのが正しいと思い込んで現実まで矯正してしまったというのが理解できます。
これではレッスンも十分な効果を得る事ができませんし、これがコーチとゴルファーの間にミスマッチを起こす最も多い原因です。

その逆に「感覚」と「現実」の話を分けて理解できるとレッスンの効用は一気に高まります。
先ほどの例で言えば、『本来バックスイングは弧を描きながら緩やかにインに入っていきますが、今は強くインに入りすぎているので、アウトに上げていく感覚で振ってみましょう。』というのが「感覚」と「現実」を分けたアドバイスです。

なので、もしGEN-TENのレッスンを受けていて、コーチのアドバイスに違和感を感じたら、そのアドバイスは「感覚的なもの」か「現実的なもの」かを確認してみてくださいね!
納得感も上達スピードも倍増しますよ。

計測機器の発達によって、私たちは「正しい現実」をより深く知る機会が増えています。
しかし、計るのは機械であっても、実際にスイングをするの人間です。

自分の真実は「体が感じる感覚」であり、客観的な真実が「モニターに映し出される現実」なのです。
どちらも真実だということを受け入れると、ゴルフがさらに楽しく奥深いものになるのではないでしょうか。

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この記事を書いたのは

大矢 隆司

大矢 隆司

1980年7月15日生まれ
15歳で単身オーストラアへゴルフ留学Hills Golf Academyで3年間ゴルフを学ぶ。
その後大学在学中にティーチングライセンスを取得しゴルフコーチとして仕事を始める。MBA(経営学修士)のキャリアも持つ異色のゴルフコーチ。
2005年にGEN-TENの設立。現在はディレクターとしてレッスンプログラム開発と組織運営を担当。趣味はゴルフ旅行(スコットランドトリップアメリカトリップ

ゴルフコーチ(USGTF)
メンタルフィットネストレーナー(NESTA)
ゴルフコンディショニングスペシャリスト(NESTA)
ゴルフフィットネストレーナー(JGFO)

Director’s note」を通じて私達が提供するゴルフコースレッスンというサービスについて1人でも多くの方に興味を持っていただけたら嬉しいです。
ゴルフ&ウェルネスツーリズム「The Golf Retreat」も主宰。
大矢隆司 公式ブログ(takashioya.com)

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