GEN-TENのレッスンにお越しいただく方にお話を聞くと、ゴルフの上達や健康維持のためにジムでのトレーニングや、ストレッチに取り組まれている方も多いようです。
最近の潮流ではTPIを始めとするフィジカルスクリーニングをベースとしたスイングトレーニングも増えて、成果を上げているプレイヤーが多いのもその理由かもしれませんね(^^)
そこで今回はゴルファーに必要なストレッチングの効果や方法について、ポジティブストレッチ代表としてオリンピックメダリストなどの施術も務める齊藤喬(さいとうたかし)さんにお話を聞きながら、記事を書いてみたいと思います。
疲労や怪我の予防にも、ゴルフ上達にも役立つアドバイスを頂きましたのでぜひご覧ください(^^)
多くの方が飛距離アップを目指して筋トレやストレッチをやっていますが、ゴルフスイングには筋力と柔軟性のどちらが大切ですか?
もちろんどちらも大切ですが、ゴルフに限らずスポーツでは全身の筋肉を効果的に使うことが求められます。筋力をつかうということは、さまざまな関節を動かすことになるのですが、それぞれの関節には最大の力を発揮するための理想的な角度があるんですね。
例えば物を投げるという動作でも、関節を曲げずに遠くに投げることは出来きません。足首、膝、股関節、肩、肘などの関節を曲げることでボールを遠くに投げることが可能になります。この時に筋肉や腱が伸びずに関節が曲がらないと、いくら太い筋肉を持っていたとしても効果的にボールに力を伝えることができません。
ですから、柔軟性を高めることで、いま持っている筋力を効果的に「クラブを振る」という動作に伝えることから始めてみるのが良いと思います。
ということは腱や筋肉を伸ばして柔軟性を上げるとスイングスピードは上がりますか?
その人が持っている筋力にもよるので確実とは言いませんが、よほど体が柔らかい例えばジュニアゴルファーなどを除いて、多くの成人ゴルファーであればその可能性は高いと思います。
筋肉は力を入れた時に縮むのですが、静止状態から縮むよりも、伸ばした状態から縮んだ方が大きなパワーを発揮できる事が分かっています(Stretch-Shortening Cycle:伸張-短縮サイクル)。
ゴルフスイングの場合は地面と設置している下肢からクラブを持っている上肢へと力を伝えていくので、体の回転スピードや、クラブを振るスピードに関わる「股関節」「肩関節」「肘関節」「手関節」周辺の腱や筋肉の柔軟性を高めると関節の可動域が広がり、その結果としてスイングスピードが上がる効果を期待できます。
なるほど。よくバネが強いとかいいますが、あれば筋肉の伸張と短縮が大きいという事なんですね。確かに私もバックスイングで上体を捻じる時に関節を曲げたり、その周辺筋肉を伸ばす感覚は意識しています。
あとゴルファーが気になることと言えば怪我です。大好きなゴルフも体に痛みがあったり、思うように動かないと楽しくなくなってしまうの注意したいのですが、疲労や怪我で何か気をつけることはありますか?
ゴルファーが怪我をするケースで多いのはやはり腰と肩です。スイングは同じ動作を繰り返し行うので、同じ筋肉や関節を使い続けることで、その周辺が緊張して固くなり血流が悪くなります(同じ理屈ですが、同じ姿勢を長時間とるような例えばデスクワークや立ち仕事でも同じ筋肉が緊張し続けるので血流がわるくなりますね)。
血流が悪くなると筋肉に十分な酸素が供給されなくなり、これが疲労物質の蓄積や炎症の原因になります。
こうした疲労や怪我の予防にはマッサージも効果的ですが、同じ時間マッサージをしても、やはり柔軟性のある筋肉の方が回復が早いです。
やっぱりそうなんですね。アマチュアゴルファーだと普段はデスクワークなどで長時間姿勢を変えない仕事も多いので、ゴルフ以前に日常生活で筋肉の血流が悪くなっている可能性が高そうですね。
そうなんです。ですから日常的に筋肉を動かしたり、柔軟性を維持することも大切ですが、特にゴルフや練習のプレー前には十分なウォーミングアップをすることで疲労や怪我を予防することができます。
ゴルフのパフォーマンスにおいても、疲労や怪我の予防においても筋肉の柔軟性を高めることは効果が高そうですね(^^)
では、実際にどんなストレッチをやればいいのでしょうか?
次回Vol.2に続く…
取材協力:ポジティブストレッチ