「ゴルファーが2人集まれば必ずどちらかがコーチになる」
こんな言葉があるくらい、ゴルフは教えるのが好きな人が多いですね(笑)
一方で「名選手名コーチにならず」という言葉がありますが、必ずしも技術や能力が高い選手が、良い指導者になるとは限りません。
実際に世界のトッププレイヤーは皆コーチを付けていますが、彼らよりもゴルフが上手いコーチはいないはずです。
では、指導者は上手くなくてもいいのでしょうか?それとも技術プラスαが必要という事なのでしょうか?
今回はそんな視点で書いてみたいと思います。
まずプロとして教えるのに「どれくらいの技術が必要か?」という問いから考えてみます。
ここでは教える技術ではなく、例えばゴルフであればスコアや経験という事にします。
これは受講者にもよりますが、万人に通用するレベル(熟達者)と定義した場合は10,000時間くらいの経験をもった人というのが基準になると思います。上手い下手ではなく、その技術習得に費やしてきた時間がどれくらいか?という事ですね。
もちろん初級者限定で教えるという事であれば、3000時間くらいでもいいかもしれませんが、例えばGEN-TENのコーチ陣で言うと、若い20代のコーチでもゴルフを始めて10年以上のキャリアがあります。
以前に「熟達までの時間」でも書きましたが、10,000時間になると技術やゴルフへの精通も高く教えられるレベルと言えると思います。
では10,000時間の経験があれば、誰でも上手く教えられるか?というとそうではありません。
「教え上手」には教えるテクニックが必要です。
これは「GEN-TENの効果的な利用法」で書きましたが、「言語学習」「観察学習」「運動学習」を促す技術です。
この中で打球技術が効果を発揮するのは「観察学習」です。
観察学習は「良いお手本」が前提になるので、ここでは打球技術の高さに比例してレッスンの効果が上がります。
上手な人を見ているだけで上手くなった気分になるの人や、「見て学ぶタイプ」と思う人は上手な人に習う事をおススメします。
一方で、実際ほとんどの方がまず最初に求めるのは「納得したい」「理解したい」という気持ちを満たすことです。
そのためには「分かり易さ」や「納得感」が必要になるので、コーチは「言語化能力」や「語彙の豊富さ」という「言語学習」を促す能力が求められます。
次に理解できても実際に出来なくては意味がないので「運動学習」を求めます。
「分かりました、ではどうすればいいんですか?」となりますよね(^^)
そこでは反復を継続するための「ドリルの提案」や「フィードバック」の能力が求められます。
このようにコーチの機能を分解して見ていくと、ゴルフのスコアや経験だけで教えられなくもないが、それが万人向けではない事が分かります。
また冒頭にもお伝えした世界のトッププレイヤーが選ぶコーチ達を見ていると、ほぼ全員が「言語学習」や「運動学習」に強いタイプである事も興味深い事実です。
この記事のタイトルでもある「ゴルフが上手い人は教えるのが上手いのか?」という問いへの私の答えは「いいえ、教えるには技術プラスαが必要です」という事になります。
ぜひ皆さんもコーチを評価していただいて、我々に感想など聞かせてくださいね(^^)