「ゴルフを上手くなるためには、どんな方法がありますか?」と聞かれます。
私達コーチは生徒さんを上達させるために、いきなり教えるのではなく、状況を把握して、計画を立ててから教えます。
この計画の段階でアドバイスの方針を決めるのですが、指導の方針には大きく分けて2種類あります。
1つ目はスイングオリエンテーションといって「スイングを良くする事でスコアを良くしていこう」という方針です。
「スイングが良くなる」→「ボールが遠くに真っ直ぐ飛ぶようになる」→「スコアがよくなる」という考えに基づき、スイングの指導を重点的に行っていきます。これは練習場やインドアのレッスンで中心になる考え方で、スイングを撮影してミスの原因を特定して、ドリルを処方して矯正していく事を繰り返していきます。
スイングオリエンテーションのメリットは「打球技術」にフォーカス出来るため、飛距離アップや再現性の向上に効果的という点です。打球に影響を与える要素は「軌道」「フェースアングル」「ヘッドスピード」「入射角」ですが、スイング中の体の動きによってこれらの変数が変わるので、目に見えて効果が実感出来ます。
対してデメリットは一度習得した技術も、定着には時間がかかるため、「直った!」と思っても好不調を繰り返し成果である「スコア」に反映されるまでに時間を要するという点です。
ですからスイングオリエンテーションを選択した場合は、定着を早めるために練習量を増やす事や、焦らずにじっくり取り組める環境を作るという事も大切になります。
2つ目のターゲットオリエンテーションは、ターゲットに近づけるための「考え方やテクニックを身につけてスコアを良くしていこう」という方針です。
コースに出るとゴルファーは「傾斜などの地形」「池やバンカーなどのハザード」「風や寒さなどの自然」など様々な外的環境に対応しなくてはいけません。そこで対応力を磨きながら上達を目指しましょうということです。
「対処の仕方を覚える」→「ミスの確率が減る」→「スコアがよくなる」という考えに基づき、対処法を中心にアドバイスします。具体的には「傾斜や風の読み方」「クラブ選択やコースマネジメント」「バンカーや傾斜地などトラブルへの対処」「マインドセットやゲームプラン」などをその時の技術に応じて繰り返します。上級者になると「インテンショナル(意図的な)ショット」「アプローチのバリエーション」などもやります。
ターゲットオリエンテーションのメリットはあまり練習量が要らず、スコアに結びつき易いという点です。例えばコース内ではほとんど平らな場所がないので、この傾斜への対応を学ぶ事でミスの確率を大きく減らす事ができます。同じことはクラブ選択やコースマネジメントにも言えますね。
対してターゲットオリエンテーションのデメリットは、飛距離アップやショットの精度向上に向かないので、技術力のアップには使えないという点です。いくらスコアがよくなっても目に見え易い効果が出ないと「これでいいのかな?」「これ以上上手くなれるのかな?」と疑問になってしまいますね。
そこで下の図をご覧ください。
これはGEN-TENでも使っているゴルフ上達の考え方です。
ゴルフはコースでプレーするので、コースへの対応を学ぶ事は必須です。ですが、コースへの対応だけでは限界があり、スイング技術の向上も必要です。
ゲームに例えると分かり易いのかもしれませんが、スイングオリエンテーションは「レベル上げ」みたいなものです。レベルが上がれば攻撃力も増して強敵も倒し易くなります。ただ必要以上に上げても時間のムダで、目標としているステージをクリア出来る程度のレベルまで上げておくという感じです。
そして最低限のレベルまで上げたら、今度は攻略法を考えます。「今のレベルでクリアするにはどうしたらいいか?」を学べば、もっとも効率的に目標スコアをクリアする事が出来ます。
しかし攻略法だけではまた壁に突き当たります。そしたらまたレベル上げ…これを繰り返す事で、スコアをグングンと伸ばしていきましょう!ということです。
GEN-TENのレッスンではカウンセリングで、課題の設定や、目標までの計画についてコーチとカウンセリングをする時間がありますので、利用される皆さんも、ぜひこの考え方を参考にして「自分に足りないのは技術か?それとも対応力か?」という事を相談してみてくださいね!